琵琶とヨガがくれたShantiな毎日

Shanti シャーンティとはインドの古い言葉で、平和、安らぎのこと。編集者として働く私が、こよなく愛する琵琶とヨガの魅力を綴ります。

平家物語のアニメを見て「平家物語」の奥深さを痛感

こんにちは。薩摩琵琶奏者の中尾掌水、
ヨガインストラクターのゆうこです。
普段は書籍の編集者として働いています。

今年1月12日から

TVアニメ「平家物語」公式サイト

がはじまりました。

フジテレビでは毎週水曜24:55~の深夜枠で、動画配信サイト「FOD」などでも配信されています。

キャラクター原案は漫画家の高野文子さん。人物にも景色にも、奥深い美しさ、そして優しさがあふれています。

f:id:yuko_biwa_yoga:20220219114137j:plain

底本は、作家の古川日出男さんが現代語に訳した『平家物語』(池澤夏樹個人編集 日本文学全集/河出書房新社)。とても意欲的な本です。ベッドサイドにおいて、ちまちま読んでいます。

主人公は孤児の女の子。びわ」という名前で、琵琶の語り手です。縁あって平重盛の館に住むことになります。このびわという少女と心を通わせる相手に重盛を設定したのは、なんともうまいなあと思いました。

重盛は平清盛の長男。清盛が傍若無人な悪役としてよく描かれる一方で、重盛は平家一門の良心と言われるほどの人物です。唯一、清盛に意見できる豪胆な人でもありました。

f:id:yuko_biwa_yoga:20220219114243j:plain

ちなみに、この重盛にはちょっと変わった設定(びわの特別な力にも共通している)が。これが結末にどう絡んでくるのかも気になります。歌川国芳「小松内大臣重盛」

びわは重盛の息子・維盛や、のちの建礼門院・徳子とも親しくなりますが、このふたりも平家一門が衰退する中でのキーパーソン。アニメではていねいに性格が描写されています。ふたりの行く末を知っていればこそ、今後の展開が楽しみです。

f:id:yuko_biwa_yoga:20220219114459j:plain

歌川芳虎「大日本六十余将」の維盛です。

f:id:yuko_biwa_yoga:20220219114531j:plain

水野年方が描いた寂光院(徳子)。

「琵琶といえば平家物語」、「平家物語といえば琵琶」というように、琵琶と平家物語は切っても切れない関係。平家物語」は今から800年も前の話で、平家一門の栄華と滅びがつづられていますが、どちらかといえば、滅びの方が話の筋。

こうして現代のアニメとしてよみがえった平家物語を見ると、単なる歴史物語ではないことをつくづく感じます。現代の我々にも訴えかける、本当にメッセージ性の強い物語です。

時を超えて語り継がれている物語には、魔力にも似た強い魅力があるのでしょうか。その重要な担い手に琵琶法師の存在がありました。そして、その琵琶法師の系譜の端くれに自分が立っていることに、心が震えます。

次のブログは、「インド版“言霊”サンスクリット語の魅力」です。
(2022年2月26日更新予定)