琵琶とヨガがくれたShantiな毎日

Shanti シャーンティとはインドの古い言葉で、平和、安らぎのこと。編集者として働く私が、こよなく愛する琵琶とヨガの魅力を綴ります。

琵琶の名曲紹介~「平家物語」の悲劇・敦盛~

こんにちは。薩摩琵琶奏者の中尾掌水、
ヨガインストラクターのゆうこです。
普段は書籍の編集者として働いています。

4月22日(土)開催の「薩摩琵琶を通して味わう日本の美しい言葉」で予定している「敦盛」の魅力を紹介したいと思います。「敦盛」は『平家物語』の名エピソードです。

敦盛は、平家一門の棟梁・平清盛の甥です。《平敦盛像》(狩野安信筆、須磨寺蔵)

演奏会は、琵琶の語りのすてきな言葉を取り上げてから、演奏を聴くというスタイルです。
平家物語』の有名な冒頭「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり」も登場します。小学生の時に、意味もよく分からないまま暗記しましたが、大人になって改めて口に出してみると、その言葉の意味、音の響きのよさが体に染み込んできます。

祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理を現す
奢れる者久しからず ただ春の夜の夢幻のごとくなり
自然も人間も移り変わる。この世の「無常」を説いた名文です。


物語は平氏が源氏に敗北した後、一の谷(神戸)に逃れていた時のことでした。源氏方の武将・熊谷次郎直実は、いい敵を討って手柄を上げたいと考えていました。そこに、海に逃げ込む一人の武将を見かけます。立派な鎧に身を包み、よい馬にまたがった武将でした。

そこで、直実は「逃げるなんて卑怯だ。戻りたまえ」と扇を使い招きます。

神戸の須磨寺にはこのシーンの再現があります。

直実はこの武将をねじ伏せて、兜を奪い取ります。すると、兜の下は、薄化粧をしてお歯黒をした、匂い立つような美少年―敦盛でした。
自分の息子と変わらぬ年齢だと哀れに感じ、逃そうとしますが、背後から源氏の大軍が押し寄せてきます。そこで、直実は泣く泣く敦盛を討つことに。
その時、敦盛は若いながらも、武将としての気概を、覚悟を見せます。

御身に討たれ花と散る 宿世の縁 嬉しやと覚悟の声に

「敦盛」の舞台は、神戸の須磨海岸須磨寺です。

須磨の浦は、一の谷の合戦が繰り広げられた場所。

一の谷から神戸市須磨区を見下ろして。

源氏の大将・源義経が「逆落し」の急襲を行い、意表を突かれた平氏は海へと敗走。その後は屋島、壇ノ浦と逃れ、滅亡に向かいます。

一の谷の合戦が行われた時、須磨寺義経の陣地だったそうです。

今は敦盛の首塚が祀られ、敦盛の菩提寺となっています。また、敦盛の愛用した笛「青葉(小枝ともいう)」が所蔵されています。

どちらも「平家物語」ゆかりの地。訪れてみると、はるか昔の物語がぐっと身近に感じられます。

次回のブログは、「川越のおすすめスポット 弁天長屋を紹介」です。かつての長屋をいかした素敵な建物なんです。(3月25日更新予定)