琵琶とヨガがくれたShantiな毎日

Shanti シャーンティとはインドの古い言葉で、平和、安らぎのこと。編集者として働く私が、こよなく愛する琵琶とヨガの魅力を綴ります。

6月に観た演劇を映画の話を少しばかり

こんにちは。薩摩琵琶奏者の中尾掌水、
ヨガインストラクターのゆうこです。
普段は書籍の編集者として働いています。

最近こそ映画(特にインド映画)はたくさん観るようになりましたが、もともと演劇のほうが好き。コロナで大打撃を受けた演劇もようやく復活してきたので、本当に本当に久しぶりに、6月は2本も観劇してきました!

まず、太宰治『新ハムレット』(パルコ劇場)シェイクスピアの有名な悲劇を、太宰なりに描き起こしたものです。

なかなか上演されないですが、かつてシェイクスピア・シアターが『ハムレット』『新ハムレット』連続上演をしたことがあり、観に行きました(調べたら2002年!)。今でもよく覚えているくらい印象的でした。

シェイクスピアは大好きで、特に『ハムレット』は一番好き。
演劇作品らしい登場人物の人物像の描き分けがなされている『ハムレット』。これを太宰節でより明確に誇張させた『新ハムレット』。うまくシェイクスピアと太宰が溶け合ったな、と思っていました。

2本目は、花組芝居仮名手本忠臣蔵』。役者は全員男性という劇団・花組芝居も以前から好きです。日本の名戯曲をよく上演されますが、原文のすばらしい響きの言葉をいかしつつ、飽きないように分かりやすい現代語をおり交ぜた脚本・演出に、いつも感動しています。

かつて世界的な演出家の野田秀樹さんが、何も舞台装置のないところで成立するのが演劇の醍醐味と仰っていたのですが、それをまさに体感しました。

小さな舞台には何もなし(時々、小道具を使うくらい)で、16人の役者はみな同じ袴姿。これで、「仮名手本忠臣蔵」の大序~十一段目までを一挙上演。何もない舞台が江戸城・屋敷・遊郭…と目まぐるしく変わり、同じ衣装を着た16人の役者が代わる代わる演じ分け、観客は想像力をフルに働かせて世界を共有する。
これは映画にはない。できない。ここが、私の演劇の好きなところです。そして、それは琵琶にも通じるなと、勉強になります。

そして最後に、映画「ナショナル・シアター・ライブ」

イギリスで上演された演劇を映画館で味わえるというプログラムで、このシリーズも好きです。
ライフ・オブ・パイ』という作品これもまた「何もないところで成立するのが演劇の醍醐味」! とはいえ、こちらはパペットや映像も大いに使っていますが、それにしても広大な動物園から、フェリー、そして、大海原まで壮大な景色を、最小限の装置で立体的に描き出しています。

観る者の創造力を、五感をフルに働かせて、物語世界を描き出すのが、演劇の神髄。わたしの琵琶も、こうあらねば!

広大な海のど真ん中で、生き生きとした凶暴な虎が目の前にいるとしか思えない! パペットと侮るなかれ。リアルな表情、仕草が見えてきます。これは生で観たかった。

たちまち引き込まれ、終わった後の余韻ハンパなく、いろいろ考えさせられる。久しぶりの観劇、いい勉強になりました。琵琶演奏だけではなく、私自身にとっても、いい刺激を与えてくれる演劇が好きです。

ライフ・オブ・パイ」は、シネリーブル池袋でまだ上映されています。おすすめです!

ああ、英ウェストエンドや米ブロードウェーで演劇三昧にふけりたい。毎日何かしらロングラン上演されていて、仕事終わりや休日に、ふらっと観に行ける文化がうらやましいなと思います。

次回のブログは、「千葉県の羽衣伝説」です。千葉県にも羽衣伝説がありました!(7月8日更新予定)