琵琶とヨガがくれたShantiな毎日

Shanti シャーンティとはインドの古い言葉で、平和、安らぎのこと。編集者として働く私が、こよなく愛する琵琶とヨガの魅力を綴ります。

【10/21演奏会プログラム】琵琶がなければ、歴史が変わっていたかも

こんにちは。薩摩琵琶奏者の中尾掌水、
ヨガインストラクターのゆうこです。
普段は書籍の編集者として働いています。

10月21日(土)「第2回 氷川神社 旭舎文庫 薩摩琵琶演奏会」開催です。

今回のテーマは「琵琶がなければ、歴史が変わっていたかも」。歴史の転換点に関わった琵琶を紹介します。

一つ目は「城山」幕臣勝海舟西郷隆盛を偲んで作詞した琵琶歌です。

薩長同盟が結ばれたことによって、日本の歴史は大きく変わりました。
京都の小松帯刀邸で、秘密裡に薩長同盟が締結されましたが、表向きは「薩摩琵琶会」でした。

実際に琵琶演奏もあったそうです。演奏したのは、児玉天南(こだまてんなん)という鹿児島県出身の方で当時21歳。その勇壮な演奏に、木戸孝允坂本龍馬も感涙したと言われています。

坂本龍馬西郷隆盛も師と仰いだ勝海舟勝海舟西郷隆盛との会合にのぞみ、江戸城無血開城を成し遂げます。結城素明江戸開城談判図》

二人が会合したのは江戸の薩摩藩邸。その記念碑がJR田町駅都営三田線三田駅近くに立っています。

「城山」とは、西南戦争最後の激戦地となった鹿児島市城山。
西郷隆盛の死後に作詞されたとあって、その言葉ひとつひとつに、西郷隆盛への思いが込められていて、ずっしりと重みを感じます。

西南戦争の際、城山が陥落する前夜にも、西郷隆盛の陣営で薩摩琵琶が奏でられたそうです。その語りは敵の陣営まで響いたのだとか。

二つ目の曲は「蓬莱山」

国歌「君が代」の元となったもので、実は、こちらも薩摩藩関連の歌です。

君が代は 千代に 八千代に さざれ石の 巌となりて 苔の蒸すまで

10世紀初頭の最初の勅撰和歌集古今和歌集』(紀貫之が撰集)に、「詠み人知らず」として残されているほどに古い歌です。

薩摩琵琶の故郷・鹿児島の薩摩では、藩主・島津家から下々の民衆まで、この古歌がおめでたい席での定番として愛されてきたと言います。

蓬莱山とは中国古代の伝説上の国で、仙人が住み、不老不死の薬があると言われています。「蓬莱山」はそんな理想郷を語る一曲です。

この琵琶の曲がなければ、国歌は違うものになっていたのかもしれません。

君が代」の譜面の表紙、クルト・ネットー作(1880年

“歴史の裏に琵琶あり”—琵琶を通して日本の歴史を知る琵琶演奏会、10月秋の川越で開催です!

次回のブログは、「勝海舟ゆかりの地~洗足池を訪ねて」です。(9月9日更新予定)