琵琶とヨガがくれたShantiな毎日

Shanti シャーンティとはインドの古い言葉で、平和、安らぎのこと。編集者として働く私が、こよなく愛する琵琶とヨガの魅力を綴ります。

「宇野亞喜良 万華鏡印刷花絮」 万華鏡のごとき印刷技術に惚れ惚れ

こんにちは。薩摩琵琶奏者の中尾掌水、
ヨガインストラクターのゆうこです。
普段は書籍の編集者として働いています。

前回、「市谷の杜 本と活字館」で和紙への箔押しワークショップをレポートしましたが、今回のブログでは、企画展のほうを紹介したいと思います。
日本を代表するイラストレーターでグラフィックデザイナー、宇野亞喜良さんの「印刷実験」の数々を紹介する展覧会です。

箔押しや透明ホログラムを使った印刷、新聞紙へのシルクスクリーン印刷、エンボス加工……、22もの印刷技術を前/後期に分けて展示。それはもう、煌びやかな印刷「表現」とでもいった豪華さ、素晴らしさ

印刷業界の末端にいるものとして(普段は普通の安価な印刷にしか携われない者)にとって、うらやましい限りの贅沢さ! しかも、初校から再校までの刷り見本とその赤字、校了までといった過程を見せてくれるので、それも非常に興味深い!

「風神」

ワークショップのもととなった作品。あえて腐食させて玉虫色になった箔を、手触りのよい和紙に施して相乗効果バツグン!

西鶴

黒い紙に印刷。シアン、マゼンタ、イエローの3色インクを使っているので(特殊インクはなし)、見た目の華やかさに反して、低コストなのだとか!

「蛇の衣」

エンボス加工で紙に凹凸をつけて印刷。光のさじ加減で陰影が生み出され、絵柄が表現される。

これだけ大きな紙にエンボス加工をするのは難しいらしく、厚みと柔らかさと兼ね揃えた上質な紙を使ったと。

チョコレートなどの包み紙に使われるドイツ製の薔薇柄ホイルペーパーを使って、華麗な宇野ワールドを表現。

「後の月」

レンズフィルムを貼り、その上に、UVオフセット印刷でカラー印刷。ホワイトやブルーの刷り方を場所で変えていて、それが功を奏して、バランスのいい強弱感が生まれている。

「三日月夜」

本の小口(側面)に印刷というだけではなく、見てください! あえて本をずらして、ひとつの絵が完成するのです。こだわりが過ぎる!!

 

桃源郷

新聞紙へのシルクスクリーン印刷。7回も版とインクを変えただけではなく、薄い紙という性質上、すべて自然乾燥させながら刷ったという、手の込みよう。

校正紙への赤字も、とっても勉強になりました! 

ただ単に赤字内容を書くだけではなく、こういった気遣いを見せるのが、よい編集者なんだなって反省です。

前期は6月25日まで。後期は6月28日~10月29日。後期も楽しみです。
何が素晴らしいって、無料なんです。企画展も常設展示も☆彡

ichigaya-letterpress.jp


常設展示もおすすめ。こちらのクイズ「最適な本を作ってみよう」は、なかなかユニークです。

依頼者の希望に沿った本を作るため、紙やサイズを選ぶんですが、なかなか・・・難しかった!

次回のブログは、「中国琵琶とのコラボ演奏会で、それぞれの魅力を再発見」です。(5月27日更新予定)