琵琶とヨガがくれたShantiな毎日

Shanti シャーンティとはインドの古い言葉で、平和、安らぎのこと。編集者として働く私が、こよなく愛する琵琶とヨガの魅力を綴ります。

琵琶×朗読、再び!「第2回 琵琶×朗読で味わう日本の名文学」

こんにちは。薩摩琵琶奏者の中尾掌水、
ヨガインストラクターのゆうこです。
普段は書籍の編集者として働いています。

昨年11月、上野桜木にある旧平櫛田中邸で、琵琶と朗読のコラボをさせた演奏会を開催しました。

琵琶は語りものだから、朗読にもきっと合うというところからスタートした企画です。撮影:土肥祐治

今回は、上田秋成作『雨月物語』を選びました。読む作品は「吉備津の釜」。
岡山県にある吉備津神社の「鳴釜神事」というちょっと変わった神事を取り上げた短編です。釜で湯を沸かし、沸き上がる際の音の大小長短で吉凶を占うというもの。

吉備津神社は、桃太郎伝説のもとになったとされる「吉備津彦の温羅退治」が伝わっています。

奇しくも、会場のもと主である平櫛田中(ひらくしでんちゅう)先生も、岡山県出身。雨月物語評釈の本も所蔵していたとか。実は「吉備津の釜」は偶然のセレクトなのですが、縁を感じます。

平櫛田中先生は明治5(1872)年、岡山県井原市に生まれ、明治・大正・昭和と三代にわたって活躍しました。
上野桜木にある旧平櫛田中邸は大正11(1922)年から、小平市に引っ越す昭和45(1970)年まで暮らしていた場所です。

平櫛田中邸は、100年近く前の伝統的な日本家屋。毎月第4日曜日に一般公開されています。撮影:土肥祐治

この天井の高いアトリエが、演奏会の会場です。日中は大きな窓から日が差し込みます。撮影:土肥祐治

横山大観・下村観山・木村武山が資金を集め、アトリエを建ててくれたというエピソードも! 撮影:土肥祐治

田中先生は100歳をこえてからも現役として活動し、東京都の小平市で亡くなります。小平市の元住居は現在、美術館となり作品を公開しています(小平市平櫛田中邸彫刻美術館)。ちなみに、先生が亡くなった際、自宅には以後30年後も制作できるだけの彫刻用の材木があったそうです。

なお、故郷の井原市にも、市立の平櫛田中美術館が建っています。こちらには、小平市のこの時の彫刻用の木材を用いて、上野桜木のアトリエを再現したそうです。

琵琶語りは「羅生門」です。平安時代の武将・渡辺綱と鬼との対決物語です。

どちらも「鬼」の登場する怪談になりましたが、それぞれの語りと琵琶のコラボ、それぞれの違い、魅力を、聴き比べして頂ければと思います。

琵琶「羅生門」についてはこちらで紹介しています。

また、男性の琵琶奏者・冨田露水さんに、上杉謙信武田信玄の戦いを描いた「川中島」も演奏いただきます。男性の声による琵琶のお迫力楽しみください。

次回のブログは、「活版印刷イラストのシルクスクリーン印刷Tシャツを再びゲット!」です。またまた行ってきました!市谷の活字館ワークショップ。宇野亜喜良展の後半展示も観てきました。(10月14日更新予定)